公認会計士の年収は嘘?高年収の「幻想」と「リアルな手取り額」を合格者が全暴露

マネー

「公認会計士になれば、年収1,000万円は余裕」

「日本三大国家資格だから、食いっぱぐれない」

将来のキャリアや年収アップを目指すあなたが、こうした言葉に期待を寄せるのは当然のことです。

しかし、同時にこうも思っていませんか?

「ネットの情報は本当なの?」「実際の手取りはいくらになるんだろう?」と。

こちらの記事「【合格者が告白】公認会計士の勉強時間は嘘?平均3,500時間の罠とリアルな実態」でも紹介しているとおり、公認会計士試験は合格まで平均して2年~3年という非常に長く険しい試験ですので、そのリターンがきちんと得られるのか気になるのは当然です。

この記事では、公認会計士試験に合格し、実際に監査法人で勤務した筆者が、そうした疑問に一切の忖度なくお答えします。

先に結論から申し上げると、「公認会計士=高年収」というイメージは、半分正解で、半分間違っています。

この記事では、一般論として語られる「平均年収」のカラクリから、税金や社会保険料が引かれた後の「リアルな手取り額」、そして本当に高年収を実現するためのキャリア戦略まで、徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたが公認会計士を目指すべきかどうかが、明確に判断できるようになるはずです。


年収の話で最も重要なのは、会社から支払われる「額面(総支給額)」ではなく、あなたの銀行口座に振り込まれる「手取り額(可処分所得)」です。

公認会計士は高年収がゆえに、税金や社会保険料の負担が非常に重くなります。

【筆者体験】監査法人時代のリアルな手取り推移

さっそくですが、私自身が大手監査法人に勤務していた頃の、おおよその年収と手取り額をご紹介します。

役職・年齢額面年収
(残業代・賞与込)
月の手取り額
(繁忙期)
月の手取り額
(閑散期)
賞与繁忙期の
残業時間
スタッフ
(20代前半)
約600万円45万~53万円28万~32万円月収×1ヶ月分×年2回40~80時間/月
シニアスタッフ
(20代後半~)
約800万円50万~60万円32万~36万円同上同上

ちなみに、先輩や上司の話から推察されるシニアスタッフ以降の給与の推移は以下のような感じです(マネージャー以上はいわゆる管理職の扱いなので残業代は発生しません。また、年齢はあくまで目安であり、入社のタイミングや昇進のスピードによって前後することに留意してください。)。

役職・年齢額面年収
(残業代・賞与込)
月の手取り額
マネージャー
(20代後半~30代)
900万~1,300万円55万~75万円
シニアマネージャー
(30代後半~40代)
1,300万~1,600万円75万~86万円
パートナー
(40代後半~)
2,000万円~100万円~

いかがでしょうか。

手取りベースでみると思ったよりも少ないと感じた方もいるかもしれません。

ちなみに、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は全国平均で856.3万円、東京に限ると1,091.5万円となっています。

(出典:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/90

💸 なぜ「年収1,000万円」でも手取りは「約720万円」なのか?

最大の理由は「税金(所得税・住民税)」「社会保険料(年金・健康保険)」です。

日本の税制は「累進課税」を採用しており、稼げば稼ぐほど税率が上がります。

年収1,000万円の場合、これら控除額の合計は約25%〜30%にも達し、手取り額は約700万円〜750万円に着地するのが現実です。

【筆者の本音】

年収が700万円を超えたあたりから、「こんなに働いているのに、手取りの増え方が鈍いな…」と感じ始めたのを覚えています。特に悪さをするのが社会保険料です。基本的に社会保険料は4~6月の所得をもとに計算される標準報酬月額を基準として次の1年間分が決定されるため、一般的に繁忙期が4~6月の公認会計士はどうしても社会保険料の負担が重くなりがちです。支給額面と手取り金額の差を見て何度枕を濡らしたことか、、社会保険料許すまじ。

結論:公認会計士はたしかに高年収ですが、「手取り額」は額面の7割~8割程度と心得ておく必要があります。


思ったより年収が高くなくて、公認会計士を目指そうという気持ちが冷めかけちゃっている方!ちょっと待ってください!

実は先ほどの例は、公認会計士のキャリアのほんの1例でしかありません。

私は公認会計士という資格の真の強みは社会からの信頼とそれに付随するキャリアの多様性あると考えています。たくさん稼いでも税金や社会保険料で目減りしてしまうなら、ゆるく働ける会社に転職すればいいし、賢く節税したいなら独立すればいいのです。

公認会計士のキャリアについてはまた別の記事で取り上げますが、以下ではそのほんの一例をご紹介します。

  1. 大手監査法人(Big4)
    • 最も多くの合格者が就職するキャリアの王道。
    • 給与水準が明確で、昇進(スタッフ→シニア→マネージャー→パートナー)に応じて確実に年収が上がります。
    • 早ければ20代後半で1,000万円、40代のパートナーになれば2,000万円以上も視野に入ります。
  2. 中小監査法人・税理士法人
    • 大手よりは年収水準がやや下がる傾向にありますが、ワークライフバランスを取りやすい、専門分野に特化しやすいといったメリットがあります。
  3. コンサルティングファーム(FAS系)
    • M&Aや事業再生などの専門知識を活かすキャリア。
    • 成果主義の傾向が強く、20代~30代で年収1,500万円以上を稼ぐことも可能ですが、激務となる場合が多いです。
  4. 一般事業会社(経理・財務・経営企画)
    • 大手企業のCFO(最高財務責任者)候補や経理部長クラスとして転職する場合、高年収が期待できます。監査法人での経験を活かし、安定した働き方を目指す人に人気です。

🚀【キャリア別】年収1,000万円を超えるための最短ロードマップ

公認会計士の資格は、高年収への「入場券」にすぎません。ここでは、年収1,000万円の壁を超えるための現実的な3つのルートを紹介します。

1. 王道ルート:大手監査法人で昇進する

最も堅実かつ再現性の高い方法です。

  • シニアスタッフ(入社3〜5年目): 年収700万〜900万円
  • マネージャー(入社7〜10年目): ここで年収1,000万円〜1,200万円に到達します。

監査業務のスキルだけでなく、チームをまとめるマネジメント能力や、クライアントと良好な関係を築くコミュニケーション能力が求められます。ただし、これらの能力は公認会計士として仕事をこなしているうちに自然と身についていくので、あまり不安になることはないでしょう。

2. 専門家ルート:転職で市場価値を高める

監査法人で数年間の経験を積んだ後、より専門性の高い分野へ転職するルートです。

  • M&Aアドバイザリー(FAS)
  • 財務コンサルタント
  • 外資系企業のファイナンス部門

これらは会計士の知見がダイレクトに活かせる高年収ポジションです。監査法人時代よりも200万~300万円アップのオファーが出ることも珍しくありません。

3. 独立開業ルート(ハイリスク・ハイリターン)

税務顧問やコンサルティング業務で独立開業する道です。

成功すれば年収数千万円~億単位も夢ではありませんが、監査スキルとは別に「営業力」「経営力」が必須となります。ただし、公認会計士業界は非常に狭い業界なので、独立前にさまざまな人とのつながりを持っておくと、ゼロから顧客を開拓せずとも人づての紹介によって仕事を獲得できる可能性は十分にあります。

いずれのルートでも年収1,000万円は堅く営業力や英語力などプラスアルファの強みがあるひとなら2,000万円や3,000万円も十分現実的な範囲でしょう。


改めて、「公認会計士は高年収を目指せるか?」という問いにお答えします。

答えは「YES」です。

ただし、それは「楽して稼げる」という意味ではありません。

  • 1: 20代〜30代で年収1,000万円に到達できる再現性は他のどの職業よりも高いです。
  • 2: ただし、高年収ゆえに税負担は重く、「額面」ほどの裕福さは感じにくいかもしれません(公認会計士に限ったことではないですが、、)。
  • 3: 年収以上に、「キャリアの選択肢が圧倒的に広がる」ことこそが、この資格の最大の価値です。

今回は、公認会計士の年収に関する「幻想」と「リアル」について、合格者の視点から解説しました。

  • 公認会計士の年収は平均より遥かに高いが、手取りは額面の7〜8割が現実。
  • 年収1,000万円の手取りは約720万円(月60万円)が目安。
  • キャリアは多様だが、最短で高年収を目指すなら「大手監査法人での昇進」か「コンサルへの転職」が王道。
  • 年収だけでなく、「信頼」と「キャリアの自由度」が手に入ることが最大のメリット。

もしあなたが、自身の市場価値を高め、年収アップとキャリアの安定性を本気で手に入れたいと考えるなら、公認会計士は挑戦する価値のある「最強のパスポート」と言えるでしょう。

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